岡本太郎氏が衝撃を受けた縄文の美

かつて岡本太郎氏は縄文時代の土器を始めて見た時、「なんだこれは!」と叫んだそうです。この土器とはいわゆる火焔型土器と呼ばれているもので、文字通り炎が立ち上っているような装飾が施された、独特のデザインの土器です。岡本太郎氏はこの火焔型土器に日本人のルーツを見つけられたようで、その後生涯に渡って縄文時代というものが氏の創作活動に影響を与え続けました。
縄文時代は今から13,000年前から弥生時代が始まるまで1万年も続きました。それだけ長く続いたというだけでも驚きですが、縄文時代の遺跡から発見される遺物も興味深いものばかりです。
先の火焔型土器に代表されるような土器、宇宙飛行士のような土偶など、その造形や製法など実に様々なものが知られています。かつてこういった縄文時代の遺物は美術品として捉えられることはありませんでしたが、岡本太郎氏の影響もあって、今では縄文の美として日本の美術史に加えられています。

7月3日より東京国立博物館にて特別展「縄文―1万年の美の鼓動」が始まりました。数多くの縄文時代の美術品が観られることに加え、岡本太郎氏が始めて縄文土器に感銘を受けたのが東京国立博物館ということもあり、楽しみに出かけてきました。

数多くの展示品の中で、特に印象に残ったのを3点ご紹介します。

まずは赤と黒のペアの木製の水差です。赤い方には取っ手が残っています。逆三角形のフォルムが実にきれいで、縄文時代人の美意識を感じさせます。そして赤黒いずれも漆塗りで、縄文時代の漆塗りが現代にまでつながっていることに感動を覚えました。

次は岡本太郎氏も感動した火焔型土器です。いくつもの火焔型土器が並んで展示されており圧巻の一言です。これらをしばらく眺めていると一つの思いが。火焔型土器と呼ぼれているが火焔じゃないな。ではなんだろう、いずれにしても不思議な造形です。そしてその同じ造形が火焔型土器に共通していることも発見でした。自由に思いのまま作っているのではなく、一定の決まりに従って作られているということなのです。この造形に込められた意味、ぜひ知りたいものです。

最後は土偶です。縄文のヴィーナスと呼ばれる国宝の土偶はまだ展示されておりませんでしたが、縄文の女神、合掌土偶、中空土偶といった国宝の土偶を始め、多くの土偶を観ることができました。驚きだったのがイノシシの形をしたものがあったのですが、それがとてもリアルに作られているのです。縄文人の技術の高さを表しています。加えて気づいたのですが、土偶は顔が簡略的に作られているものが多く、のっぺらぼうのように目も鼻も口も表されていないものもあります。しかしイノシシの造形をみるに、それは顔を造形する技術が乏しいのではなく、顔を作ってはいけないという何かルールのようなものがあったのかもしれません。

日本列島で独自に花開いた日本人のルーツにつながる縄文文明。ますます興味を持ちました。

投稿者プロフィール

株式会社きれい 代表取締役 柴田幸治
大手光学機器メーカー勤務後、経営コンサルタントとして2000年に独立起業。
旺盛な好奇心とちょっと変わったアイデア、幅広い人脈で、販売数100万個を超えるヒット商品や、海外のコンテストで世界一を獲得した商品などをプロデュース。
4つのきれい(くらし・かんきょう・からだ・こころ)を基にした独自のメソッドで、企業のCSR・商品開発・マーケティングを支援しています。