土門拳記念館

土門拳記念館に行ってきました。

ここは写真の鬼と呼ばれた写真家の土門拳から寄贈された7万点に及ぶ全作品を所蔵する日本最初の写真専門の美術館で、酒田市郊外の飯森山文化公園の一角にあります。

土門拳といえば「古寺巡礼」が有名です。15年間かけて39ヶ所の寺院を訪れ、寺院や仏像などを撮影した写真集です。スタートは奈良の法隆寺。最後は京都の三十三間堂でした。

私が訪れた際も古寺巡礼に納められている写真がずらりと展示されていました。展示されている写真はすべてモノクロ。白と黒のハイコントラストで仏像が強烈に迫ってきます。

私は作品を見ながら土門拳がシャッターを切った瞬間のことを考えていました。写真は言うまでもなくシャッターを切った瞬間が写っています。仏像は動きません。3秒前でも5秒後でも良さそうなものですが、私には彼の写真はいずれも「決定的瞬間」を捉えたものに感じられたのです。「今だ!」という瞬間に彼はシャッターを切ったはずだ。そう感じたのです。

私はその瞬間は土門拳の「魂」と、古寺におわす「見えない力」が同調した瞬間だと思いました。静寂な展示室の中、そういう視点で1枚1枚の写真を見ていくと、なんだか「見えない力」の存在が感じられるようでした。

土門拳は「リアリズム写真」を提唱しましたが、彼のリアリズムは見えない力までも写し出すのかもしれません。

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