鎌倉時代から伝わる伝統的なお酒の復活

日本酒の消費量はここしばらく減少し続けていますが、伝統的な造り方や原料などにこだわった本物志向・高級志向の日本酒は人気が高まっていています。

そんな本物・高級志向の日本酒の中でもちょっとユニークな分野の日本酒があります。
それは「熟成古酒」です。日本酒のヴィンテージですね。醸造してからある程度の年月をかけて熟成された日本酒です。

日本酒の熟成と言うと「ひやおろし」と呼ばれるものがありますが、これは冬に搾られたお酒を一夏越して秋に出されるお酒なので、熟成と言っても期間が短いのですね。
これに対して熟成古酒は3年から数十年という長期間熟成させた日本酒です。

日本酒を長い期間かけて熟成させるというと、日本酒って古くなると酢になるんじゃないの?と疑問に思う方もいます。
実は私もそうでした。私は実体験として日本酒を酸っぱくしてしまったことがあり、完璧に時間が経つと日本酒は酢になると思い込んでいました。

そんな私が認識を新たにしたのは、今から10年ほど前のことです。

ウェブサイトのコンサルで、ある酒蔵さんを訪れた時のこと。一通りのお話が済んでいよいよ帰ろうとした時、そこの社長さんが1本の瓶を持ってきました。
透明な瓶の中に入っていたのは茶色に近い黄金色の液体。

社長さん「10年以上熟成させた日本酒です。」
私「飲めるんですか?」
社長さん「もちろん飲めますよ、うまいと思うんですけどね。」
私「酸っぱいんですか?」
社長さん「酢になってると思ってるでしょう?」
私「はい、えっ、違うんですか?」
そんなやり取りとしながら、社長さんから日本酒の熟成古酒というものについて、いろいろと教えてもらいました。

日本酒の古酒というのは、史料などから遠く鎌倉時代から造られていたことがわかっていて、時間をかけなければ造れない貴重なお酒として珍重され、宮中でも儀式などに使われ、また江戸時代には上等な新酒の3倍もの値段で売られていたそうです。
日本の歴史、文化の一部でもあった日本酒の熟成古酒ですが、明治になりお酒を搾った時点で酒税がかけられるようになってしまい、搾ってから長い時間がかかる熟成古酒は廃れてしまったのだそうです。

その熟成古酒をいただいて帰り、飲んでみました。香り、味わいとも私が知っている日本酒とは全く違います。シェリー酒のようだと表現する方もいますが、私には何にも似ていないという表現しかできません。色も香りも味わいにも長い時間を感じさせる魅力が感じられるお酒でした。

私は一発で日本酒の熟成古酒の魅力にはまってしまいました。実はこの後熟成古酒の商品化の企画に関わり、この酒蔵さんの熟成古酒は大ヒットとなりました。

日本酒の熟成古酒はまだまだマイナーな存在ですが、熟成古酒を商品化している酒蔵さんは増えています。また熟成古酒を専門に扱うお店もあり、徐々にではありますが廃れた熟成古酒という日本の文化が復活しつつあると感じます。

ぜひ日本酒の熟成古酒を飲んでみてください。その奥深い世界に魅了されることでしょう。

About the author: 株式会社きれい代表取締役 柴田幸治

メーカー勤務後、経営コンサルタントとして2000年に独立起業。 旺盛な好奇心とちょっと変わったアイデア、幅広い人脈で、販売数100万個を超えるヒット商品や、海外のコンテストで世界一を獲得した商品などをプロデュース。 秋田と東京に拠点を置き、全国を飛び回って企業経営のお手伝いと新ビジネスのプロデュースをしています。 日々の実践や気づきを記事にして発信しています。みなさまのビジネスのヒントになれば幸いです。