美濃の和紙の里で持続可能な伝統産業の秘訣をみた

和紙は、大量生産の紙には感じられないぬくもりと優しさを感じるます。
特に手漉きの和紙には個性的なものも多く、素材としてとても魅力的です。

そんな和紙の特徴を活かして、現在進めている商品開発において和紙を取り入れてみたいと考えています。

数年前、手漉和紙の伝統技術はユネスコの世界文化遺産に登録されました。
対象は細川紙、石州半紙、本美濃紙です。

幸いなことに、友人が岐阜県の美濃で和紙産業に携わっているので、いろいろ教えてもらおうと出かけてきました。

友人の案内で、手漉で和紙を作っている2つの工房を訪れました。

最初は幸草紙工房さん。
長良川に沿って郡上八幡に通じる街道脇に工房がありました。

こちらの加納武氏は創業して10年以上の美濃和紙の伝統工芸士です。

着いてみると、洗濯ハンガーでたくさんの白いタオルが干されています。と思いましたらタオルではなく漉いた和紙でした。
その横には長い板に和紙を貼り付けて乾燥させているものもありました。
また工房脇では楮を流水によって洗浄されていました。
洗浄した原料を工房脇の大きな釜で煮て、その後工房の中の石の板の上で木製のハンマーのようなもので叩いて繊維を砕くのだそうです。

加納氏は伝統工芸士として伝統を継承しつつ、新しいライフスタイルに合わせた和紙づくりにも取り組んでおられました。
通された事務所の椅子には和紙で作られた座布団がありました。独特の風合いとさらりとした肌触りが気持ち良かったです。
また藍で染めた和紙で作ったベストやハッピも見せてくれました。強度や保存性に優れた和紙の特性を活かせば、こうした衣類にも使えるのですね。

続いて大光工房さんへ。
大光工房はなかなかユニークな工房です。代表の千田崇統氏はペルーのアマゾンの村やアンデ スの少数⺠族に飛び込んで現地での暮らしを体験した上で、食や田舎の無駄の少ない暮らしに 目覚め、美濃に移住して新たに和紙づくりに取り組んでいる方です。

こちらでは落水紙というものを見せてもらいました。
落水紙とは、漉いた和紙の上からシャワーのように水を落として透かしの模様をつけるものです。障子やランプシェードなど、光の透過を楽しむものに適しています。
こちらも今のライフスタイルにつながるものづくりをしておられます。

加納氏も千田氏も、家業として和紙づくりを引き継いだわけではなく、自分の代から和紙づくりを始めました。
和紙に魅了され生涯の仕事としてこの道を選んだわけです。
伝統技術の継承の危機が問題となっていますが、こうしたチャレンジ精神を持った人たちが入ってくるうちは大丈夫だと思います。

3つの和紙の産地が世界文化遺産に登録された際、ユネスコの委員会は「産地に暮らすすべての人々が和紙作りの伝統に誇りを持っている」と評価したそうです。
確かに私の友人なども、美濃の和紙づくりに誇りをもって様々な活動をしています。
地域全体がそこの産業に誇りを持つことが、新しい人も呼び込み、魅力的で成長の続く産業として成り立っていくのですね。

投稿者プロフィール

株式会社きれい 代表取締役 柴田幸治
大手光学機器メーカー勤務後、経営コンサルタントとして2000年に独立起業。
旺盛な好奇心とちょっと変わったアイデア、幅広い人脈で、販売数100万個を超えるヒット商品や、海外のコンテストで世界一を獲得した商品などをプロデュース。
4つのきれい(くらし・かんきょう・からだ・こころ)を基にした独自のメソッドで、企業のCSR・商品開発・マーケティングを支援しています。

NPO法人ウルシネクスト理事長