世界遺産登録はもうすぐ、その陰に海賊とよばれた男あり

海賊とよばれた男という小説が話題です。私も読みました。
今年の暮れには映画も公開されるようです。

この小説のモデルは出光佐三氏。
出光興産の創業者です。

この小説の前からこの人物にはとても興味がありました。

氏は国際的な石油メジャーに対抗して、民族系石油元売会社出光興産を築きました。イギリス軍のイラン封鎖をかいくぐって石油を輸入した日章丸事件は世界を驚かせました。

今でこそ出光興産は東証一部上場企業ですが、10年ほど前までは大家族主義を標榜し、タイムカードや定年制のないユニークな非上場の大企業としても有名でした。

改めて出光佐三氏のことを調べてみると、氏は宗像大社とご縁が深いことがわかりました。

氏は福岡県宗像郡赤間村に生まれています。
幼い頃から宗像大社を崇敬し、出光興産の本社にも宗像大社を祀っていましたが、ある時宗像大社を訪れ、その荒廃ぶりに心を痛め、宗像神社復興期成会の結成を呼びかけると共に、私財数十億円を投じ再建に尽力したのです。
氏の関わりは社殿などの再建にとどまらず、宗像神社史の編纂や沖ノ島の学術調査にまで及んでいます。

出光佐三氏が再建に尽力した宗像大社を一度お参りしたいと思っておりましたが、福岡に出張する機会を得ましたので足を運んでまいりました。

宗像大社は沖ノ島の沖津宮、筑前大島の中津宮、宗像市田島の辺津宮の三社の総称ですが、今回訪れたのは辺津宮です。といっても沖ノ島は49km、中津宮は11kmも離れた海上の島で、沖津宮に至っては沖ノ島自体への上陸が制限されているので、行こうと思っても誰でも行けるところではありません。

参道を進み、巨大な岩でできた手水舎で身を清め拝殿にて参拝いたしました。

本殿の周りを22の小さな社殿がぐるりと囲んでいます。
本殿の後方には沖津宮の分社である第二宮と、中津宮の分社である第三宮があります。
そして少し奥まった所に高宮祭場があります。ここは宗像三女神降臨の地と伝わる、全国でも数少ない古代祭場だそうで、静寂な雰囲気が印象的でした。パワースポットとしても有名だそうです。

宗像大社の沖ノ島は、別名海の正倉院と呼ばれるほど大量の神宝が発見されたことでも有名です。
沖ノ島は古代から一木一草一石たりとも持ち出すことが禁じられており、そのことで膨大な宝器や祭器が手付かずで残っていたのです。
昭和29年に学術調査が行われましたが、この調査にも出光佐三氏は関わっています。
三次にわたる調査によって発掘された神宝は8万点。その貴重な品々は全て国宝に指定されています。

ちょうと神宝館にて大国宝展が開催されていました。
大量に展示されているものが全て国宝という、ちょっと信じがたい状況に時を忘れて見入りました。

宗像大社の再建に尽力した出光佐三氏ですが、私は記念碑はもちろん、境内で出光佐三という名前を見つけることはできませんでした。

純粋に宗像大社を崇敬する気持ちで再建に尽力した氏にとっては、このことで名を残すことは受け入れ難かったのかもしれません。

今年に入って宗像大社は「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群として、世界遺産登録への推薦が正式決定されました。
そこには沖ノ島の学術調査や宗像神社史の編纂も大きく影響しています。

正式に世界遺産登録となれば、その陰には海賊とよばれた男あり、と言えるのではないでしょうか。

投稿者プロフィール

株式会社きれい 代表取締役 柴田幸治
大手光学機器メーカー勤務後、経営コンサルタントとして2000年に独立起業。
旺盛な好奇心とちょっと変わったアイデア、幅広い人脈で、販売数100万個を超えるヒット商品や、海外のコンテストで世界一を獲得した商品などをプロデュース。
4つのきれい(くらし・かんきょう・からだ・こころ)を基にした独自のメソッドで、企業のCSR・商品開発・マーケティングを支援しています。