阿蘇で田楽をほおばりながら地域の食文化を考えた

熊本の友人が自然食とローフードのカフェをオープンさせたということで、激励を兼ねて熊本を旅行してきました。

友人の案内で阿蘇、高千穂、熊本市と火の国熊本をあちこち観てまいりました。(高千穂は宮崎県)

印象深かった場所はいくつもありますが、今回ご紹介したいのは高森田楽保存会という人気の郷土料理のお店です。
熊本空港から1時間ほどの阿蘇郡高森町にあります。

緑深い落ち着いた場所に、明治時代に建てられた古民家を利用したお店があります。平日のお昼も遠に過ぎた時間でしたが、賑わっていました。

中に入ると実に素朴な味のある雰囲気です。囲炉裏がいくつもあって、それを囲んで田楽をいただけるようになっています。
串に刺したヤマメ、こんにゃく、豆腐などが炭の周りに刺され、それらを眺めながら焼きあがるのを待つ時間もまた楽しいものです。

こうして焼かれる田楽の素材として、忘れてはならないものがあります。
それは里芋なのですが、この里芋はこの地域でしか採れない「鶴の子芋」というもので、阿蘇山の火山灰の土壌だからできるものだそうです。

もともとこの地の田楽というのは、この鶴の子芋と豆腐だけだったそうで、高森田楽の主役なんですね。

このお店には「保存会」という名前がついています。
ということは、そう、実はこの高森田楽は消えそうになっていたのです。

戦後、鶴の子芋の栽培も、田楽を食べるということも減ってしまい、鶴の子芋文化が消えかかりました。
そんな中で、地域で食べられてきた田楽を残そうと有志が集まってできたのが、この高森田楽保存会なのです。

地域の食文化を守ることにはどんな意味があるのでしょう。
高森田楽保存会では鶴の子芋はもちろん、味噌も豆腐もこんにゃくもヤマメも炭や竹串、味噌を塗るヘラまで地元の手作りだそうです。

この取り組みから見える地域の食文化を守る意味とは「地域の人つながりを維持すること」だと思います。

人も物も移動がそう簡単ではなかった昔、地域の食文化はその地域でとれるもの、その地域で用意できるもので構成されました。
つまり、その食文化を支えてきたのはその地域の様々な「人」なのです。

今、人のつながりが希薄になることで様々な問題が起きています。
人間の社会での最小単位は家族、そして町内や集落、地域、県や国と大きくなっていきます。
地域の繋がりが希薄になれば、それはいずれ国全体のつながりが希薄になり、国力の低下を起こし、住みにくい社会となるでしょう。

地域の食文化を守るということは、私たちが生きていく上で欠かすことのできない社会を守るということに他ならないのです。

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投稿者プロフィール

株式会社きれい 代表取締役 柴田幸治
大手光学機器メーカー勤務後、経営コンサルタントとして2000年に独立起業。
旺盛な好奇心とちょっと変わったアイデア、幅広い人脈で、販売数100万個を超えるヒット商品や、海外のコンテストで世界一を獲得した商品などをプロデュース。
4つのきれい(くらし・かんきょう・からだ・こころ)を基にした独自のメソッドで、企業のCSR・商品開発・マーケティングを支援しています。